駅近日記

”常に泣きたくなり、常に眠くなり、周りには荒廃と真夜中と酷寒しかないとき、どうやって人生を楽しめばいいのか?”

武蔵野探訪記

2021年08月29日

武蔵野に行って思ったこと全部書く

※2021/11/05追記

 

所沢航空記念公園

航空公園駅

「所沢で一番思い入れがある場所はどこ?」って聞かれたら「所沢航空記念公園!」って答えるくらい、航空公園は好きな場所だったりする。私が夜行バスに乗って初めて関東に行ったのは中学生の頃で、その時の目的地がここだったんですよね。そこで好きなネットラジオのドロけい大会に参加したんですがめちゃめちゃ楽しかったです。あと大好きなアニメ『ローリング☆ガールズ』の聖地! だから大好き。

そんな所沢航空公園の最寄り駅は航空公園駅。 

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駅着いた瞬間から夏! 気温の話じゃなく景色が夏。山とか海じゃなく普通の住宅地で夏を感じられても……って話ではあるんだろうけど、ほぼ引きこもりの人間からするとこれでも十分に夏なんです。

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エスカレーター上がった辺りで「ん?」ってなったんだけど、墓推しがすごい。墓地!墓地!仏花! 広告のメインが墓地なんだ……って思いながら改札を出た。

駅中のアンリー・ファルマンっていう喫茶店がかなり気になった。店名の看板の隣に1911って書かれた看板(店名より目立つ配置)を飾ってたのに心惹かれた。1911は日本で初めて日本人が飛行機で飛んだ年らしく、それをPRするために看板を飾っているらしかった。朝ごはんが遅かったから入らなかったけど次来るときには寄ってみたい。なんで入ってないのに1911の説明まで分かるのかというと、1911看板に全部書いてあったから。看板二枚で情報量が違い過ぎる。

駅の一階にアンリー・ファルマンっていうパン屋があり、ようやくそこでさっきの喫茶店がパンの美味しいところなのだろうと分かった。

 

所沢航空記念公園

航空公園駅に降りたの10年ぶりくらいなんだけど、ロータリーの感じとか全然変わってなくてめちゃくちゃ懐かしくなった。

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「埼玉で開催! Tokyo2020」これ全部違わない?

埼玉スタジアム2002って名前かなり好き。施設名に建設年入れるやつ、00年代のだと無条件で好きになっちゃうんですよね。ゼロ年代に囚われ過ぎでは。

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これは航空公園あるあるなんだけど、駅出てすぐ”航空公園っぽい場所”が広がってるから「航空公園だーー!」ってはしゃいじゃうけど少し歩いても全然航空要素なくて「あれ、はしゃぐの早すぎた? ここってただのスポーツエリア?」ってなる。

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これが航空公園のマップ。駅から航空公園を目指すと左端のエリアから行くことになるんだけど、そこがめちゃくちゃ公園っぽいから「航空公園ってこういう感じなんだ。高い木がたくさんあっていいな」って思っちゃう。で、その後テニスコートとか見つけて「あれ、ここ公園要素薄い? もう端っぽいけど」ってなるんですよね。

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そのタイミングで現れる看板! 橋!その先に見えるなんか開けた場所! もしかしてここって航空公園のジャブでしかなかった!?って気付くやつ、たしか10年前にもした。公園に二度も化かされることってあるんだ。橋の装飾にも航空要素があって好き。

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橋を抜けるとめちゃくちゃ広いし空が高い。解放感でテンション上がったのかなり久しぶり。汗だくじゃなかったら走りたかった。ラジコン飛行機操縦してる人とか凧揚げしてる人がいてかなり楽しそう。

カイト見て思い出したんだけど、小学生の頃ルギアがプリントされたカイトを揚げたら電線に引っ掛かって消防署のお世話になったことがあるんですよね。いつかカイトリベンジして楽しい思い出で上書きしたい。 

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航空公園のハンバーガー屋さん。マックとかモスみたいなのじゃなく”ハンバーガー”って感じのやつが食べられるお店。店内の床が白黒タイルでダイナーっぽいの結構好き。こういうタイプのお店見るたび「『横道世之介』で見たやつだ!」ってなる。お店の入ってすぐのところに体温測る機械があったんだけど「タイオンハセイジョウッ!」(ちょっと記憶が曖昧)って大きな声で断言してきて笑っちゃった。ディストピア感が強すぎる。今はテイクアウトのみでの営業だったから公園内の良さそうなところで食べた。ハンバーガーは美味しかったけど、アリに足を噛まれてから「また噛まれたらいやだな……」ってずっとそわそわしてた。昔は木登りとかしてたのに今はちょっとした虫にもびくびくしてるの大人になった感ありますね。でもアリを受け入れるくらいの豪胆さはほしい。

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飛行機の横にあった石碑。こういうのがあると記念の地って感じがする。なんとなく石碑の裏に回ったら設置者たちの熱い想いが書いてあった。所沢航空資料調査収集する会って名前かっこよすぎる。調べたら本出してるしツアー組んでるし補助金出てるしでかなりしっかりした団体だった。ツアー面白そうだから今度参加したい。

この石碑、正面は地面が踏み固められてて草とかあんまり生えてないんだけど裏はそれなりに生えてて、裏見る人あんまりいないのかなってちょっと寂しくなった。でも石碑裏の言葉を読む限り、この石碑自体が想いの形っぽいから私の寂しさは余計なお世話だとも思う。

 

所沢航空発祥記念館

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航空公園に来た目的はここ。看板の屋根がカイト型なのいいね。……いいけどまた昔を思い出しちゃった。

看板の案内見たらモササウルスの映画(?)みたいなのやっててめちゃくちゃ行きたかった。夏休みといえば恐竜!みたいな気持ちってどこで育まれたんだろう。クレヨンしんちゃんの映画(?)もやってて子供にも優しい場所だった。子供が映画観てる間に大人は飛行機見たりするのかな。

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入り口で検温とアルコール消毒をして、入館のために必要な書類の記入。もし後々感染してたと分かったり濃厚接触者になったりした際に連絡できるように記入する必要があるらしかった。

飛行機が吊るされてるのかっこいい。こういう骨が見えるタイプの飛行機ってなんかいいですよね。鳥人間コンテストでも空気抵抗考えて全面板っぽいやつが増えたけど、個人的にはこういう無骨な方が好み。でも好みと性能はまったく別の問題っていうのは航空工学(?)の誠実さですよね。飛ぶ形にしたら飛ぶんだから。

全然関係ない話なんだけど、今年の鳥人間コンテストは9月2日みたい。楽しみ。(読み直ししてる今の時間は9月2日22時02分。鳥人間コンテスト忘れてました)

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チケット買って入場。中は想像以上に航空機でぎゅうぎゅう詰め。何機か置いてるんだろうなーくらいに思ってたからテンション上がった。中央は航空機と航空機の間に通路を作るって感じ。奥の方に行くとわりとスペースが空いてるんだけど、入り口近くは「とにかく航空機見てって!」って気持ちが溢れてた。

ちなみに右の写真はクロスワードラリーの景品。特別チケットを買うともらえるクロスワードに答えるともらえるらしかった。何も考えずに通常チケット買っちゃったことをちょっと後悔した。

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展示の仕方が豪快だったのがかなりよかった。フロアの真ん中にはとにかく航空機を置く! 壁沿いには航空系の偉人の説明パネルを置く! さぁ楽しめ!!! っていう勢いがある。

航空機の解説パネルは全部目を通したけど、なんだかんだで最初に展示されてたノースアメリカン T-6Gの解説が一番好きかもしれない。”練習機としての役割を終えた機体は、救難捜索機として活躍していたが、1969(昭和44)年に全機とも現役から退いている”の部分で航空機にも余生ってあるんだって思った。練習機の余生が救難捜索機で、その余生が展示機で。でも航空機って飛ぶことが本義だから救難捜索機になったのを余生っていうのは違うのかも。というか飛ぶのも展示されるのも航空機だったからできた訳で、航空機である限り役目を果たし続けてるんですよね。

飛行場作るために畑や墓地を買い上げたって説明読んだ時「もともと墓地がめっちゃあった場所なんだ!! だから駅の広告がああだったのか!!!」ってなりましたね。町の後に墓地を建てたんじゃなく、墓地の後に町ができたっぽい。それなら墓地多いよね。

 

徳川好敏

航空偉人紹介コーナーは航空機の説明パネルと比べて戸惑うくらいに熱かった。日本の航空技術は彼らによって作られた!!!っていうパネル製作者の声が聞こえてきそうなくらい。

徳川好敏の説明パネルが罠だったのがかなり面白かった(面白がるな)

彼は航空技術の習得と買い付けのために海外留学とかもした人なんですが、帰国してからは自分で航空機を作ったりもしたんですよ。そんな彼が作った国産飛行機の名前がこれ。

「このネーミングセンス、ツイのオタクじゃん!」ってかなり失礼なことを思ってしまった。だって当時も「会」は無限にあっただろうし、そんな抽象的すぎる名前でいいの? もっとかっこいい名前とかの方がよくない? みたいな。

その後に見た別のパネルに書かれてたのがこれ。

そういう事情は一つにまとめて書いてほしい。勢い余ってツイートしたのがめちゃくちゃ申し訳なくなるので。たしかにそれなら抽象的な名前つけますね。

国産航空機開発をガンガン引っ張っていった人らしく、彼のパネルは成果をメインに取り上げられていたんだけど、どんな失敗があってそれをどう乗り越えて生まれた成果なのかってところをもっと知りたくもあった。失敗から得た学びによって完成したもののはずだから過程にも価値があると思うんですよね。

最終的に民間航空に専念したっていうのも結構気になるポイントだった。航空機が普及もしていなかった時代の民間航空会社ってどういう仕事をしてたんだろう。軍に飛行機を売るとかかな。

航空人って二つ名付きで紹介されたり自伝漫画が描かれたりと、The 偉人だった。

 

日野熊蔵

徳川好敏はすごかったんだけど個人的に好きになったのは日野熊蔵。記念館は徳川好敏と日野熊蔵を二枚看板として推してるんだけど、日野熊蔵の推し方はちょっと毛色が違う。

日野熊蔵の二つ名は発明家。日野も徳川と同時期に留学と買い付けをした人なんだけど、留学中も帰国後も行動が自由過ぎる。”徳川好敏がファルマン飛行学校のあるエタンプでじっくり構えていたのに対して、精力的に各地を渉猟していた久野熊蔵の行動の詳細は不明です”って説明を読んだ時点で、これはかなり面白い人かもしれないと思った。言えない仕事があったのかただただ不明なのか、でも軍のお金で留学してたんだろうし不明なんてことあるのかな。そういう気になり方。

そんな日野の功績なんだけど、飛行機よりそれ以外の方が多い。なんなら日野コーナーは日野の足跡の次のパネルは発明品の紹介ですからね。何故か航空機じゃない。物作りが好きだったのか、日野式自動人力車(三輪バイクみたいなやつ)とか日野式自動拳銃(アメリカで特許取ってる)とか作ってた。

じゃあ肝心の飛行機は?って話なんですが、日野は「日野式一号機」っていうのを作ってます。これは残念ながら飛ばず、開発秘話の説明も特になかった。で、そんな日野は「純国産の飛行機を作るぞ!」って日野式をガンガン作ったけど全部飛ばず、途中からは福岡に転属になっちゃって、かなりつらい開発人生だったっぽい。

徳川にはチームでの開発エピソードがあるのに日野にはないんですよね。失敗したからとか以前に日野の解説には登場人物が日野しかいない。転属になってからようやく登場人物が増えるんだけど、それも一緒にどうこうとはちょっと違ってて彼の人間関係について思いを巡らせてしまった。留学中も帰国後も、なんで日野は一人で挑む方を選んだんだろうってことがかなり気になる。(もしかしたら書いてないだけで色々あったのかな)

日野の好きエピソードなんだけど、地域住民に愛されてたらしく日野の転属を悲しむ声が結構あったっていうのはかなりよかった。そのエピソードのせいで頭の中の日野が町の発明家になってしまったんだけど。

展示の順番のせいもあるんだけど、全体的に徳川と対照的な人だなって思った。発明全部に「日野式」って名付けてるのとかもそう。

ハンス・グラーデっていうドイツの発明家の紹介コーナーで”「ドイツの日野熊蔵」と言ってもいいような発明家でした”って書いてあって笑ってしまった。航空発祥記念館の日野推しがすごい。でも日野が買い付けた飛行機の制作者がハンス・グラーデなわけで、それをドイツの日野熊蔵っていうのは力技過ぎないですか。

 

民間航空家

紹介されてるエピソードがどれも航空機が身近に存在しなかった頃のもので、何を読んでも当時の熱狂が伝わってきて面白かった。

民間航空家の岩田正夫が飛行機で恋人の村に行ったら滑走路にするはずの道に村人が集まってきて着陸できなかったって話が特に好き。みんながそこまで飛行機に関心を示す時代って今じゃあんまり想像できない。

二日目に注意事項とか説明してから村人に飛行を見せたらまた滑走路予定のところに村人が押し寄せて(なんで注意したのに押し寄せるの?)、仕方なく端に着陸したら飛行機を痛めてしまったっていうのもよかった。よくはないんだけど、笑ってしまった。

昔の航空開発エピソード、動力の問題で上手くいかなかったやつを読むと「時代的に仕方ないのかもだけどさぁー!」ってもどかしい気持ちになりますね。二宮忠八っていう人がまさにそれで、動力問題を解決してない飛行機の写真が説明コーナーにあって悲しくなった。

ここまで書いてまだ一階。でもこの後時間がヤバいことに気付いてかなり巻いたから他の階の話はまた見に行ったときに書きたい。

 

東所沢へ

TLで以前から言われていた通り、東所沢ってアクセスが微妙なところがある。所沢からでも時間がかかるってことは知ってたから40分くらい移動時間に見てたんだけど、バスの時間が合わずツアーに間に合わないことが発覚。泣く泣く駅前でタクシー拾いました。

運転手さんと「どちらまで?」「さくらタウン……あ、東所沢の」ってやり取りをしたんですが、私がさくらタウンを信じ切れてないってのが出ちゃって少し反省しました。「あー、あそこですね」って分かってくれたんで普通に有名なんですね。

この辺のこと聞けるかなーと思って話しかけたら「この辺で仕事始めたの最近なんですけど、お店あんまりないんですよね。お墓はあるんですけど」って言われて、やっぱりそういう感じなんだってなった。航空発祥記念館のパネルにも、米軍が航空公園辺りに駐留してた頃が商店街に活気があった最後の時代だったって書いてあったの思い出して切なくなってた。というか飛行場のために墓地を買い取ったのに墓地また増えてるんですね。

駅から離れるほど閑散としてきて、10分も走れば周りは畑になった。

 

ところざわサクラタウン

サクラタウン

タクシーから見える景色に家が増え始めた辺りで明らかに大きい建物が見えてきて「もしかして……」と思ったら案の定サクラタウンでした。どこに車止めるんだろうって思ってたら警備員の指示に従ってガンガン中に入っていく運転手さん。どこまで行くの?って戸惑ってたらここに止まってくれました。

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TLで一瞬話題になったけど誰も泊まったことの無い施設、アニメホテル!

宿泊の予定はなかったので外から回り込む形でサクラタウン入りしたけど、せっかくならホテル用の外のエレベーターからサクラタウンに乗り込めばよかったかも。入り口が裏手の奥まった場所ってこともあって、ゼルダの伝説BotWでハイラル城の船着き場に潜入した時みたいな高揚感があった。

この辺であまりの暑さに脱水気味になってることに気付いたんで自販機を探すことに。でもサクラタウンって自販機系見ないんですよね。出店に飲み物ないかな?って探しても全然ない。施設の人に聞いてもここにはないと言われたんですが、その代わりとして飲食店街を教えていただきました。

この時点で集合時間の10分前とかだったんでかなり焦ってました。レジで一番最初に目についたアイスティーを注文して着席と同時に全力で飲む! そして片付けて退店。ここまで2分半くらい。

 

角川武蔵野文学賞ツアー

そのまま集合場所である角川武蔵野ミュージアムに行ったら、エントランスの真ん中に明らかに異質な3人がいてちょっと怯んでしまった。一人は「角川武蔵野文学賞ツアー」と書かれたA4の紙を持つ男性。一人は「角川武蔵野文学賞ツアー」と書かれた赤い旗を持つ女性。一人は黒尽くめに丸メガネの男性。完全に海外旅行ツアーじゃん!って三人組に怖気づいたんだけど、こんなところで負けてられない!って気持ちで話しかけて受け付け。周りに人がたくさんいる状況で「角川武蔵野文学賞ツアーですか?」って良く通る声で聞かれると変な汗が出ますね。ちなみにその時点で他の参加者は2人(中高生っぽい男の子とおばさん)だけ。「フォロワーが参加した回では小学生がたくさんいたみたいだし参加のハードル意外と低そうだな」って思ったの完全に間違いだったね……。

流石にまだまだ増えるでしょって思ってたらA4の男と黒尽くめが「もう一人いましたよね」「そうなんですよね。どうしましょう」「僕待機しておきましょうか」って話し出したんですよ。え、あと一人しか増えないの!? ほのぼの観光ツアーじゃなくがっつりオタクツアーになってしまうのでは!!??? って震えた。ちなみに4人目は無断欠席だったんで3対3で始まりました。

(赤い旗の人はツアーの担当者さん、A4持ってた人は図書館司書さん、黒尽くめは学芸員さんでした)

開始早々爆弾が投下されてめちゃめちゃ動揺してしまった。フォロワーも言ってたけど、これ完全に「これからみなさんには殺し合いをしてもらいます」なんですよね。これ言ったのが黒尽くめの学芸員さんだったのでよりそれっぽかった。男の子はカクヨム使い、おばさんは一般文芸書きっぽくて、角川武蔵野文学賞の各部門の参加者そろい踏みでした。

このツイート、私のツイート力が低くて脱水症状で参ってると勘違いさせてしまったんだけど、本当は「デスゲームに巻き込まれた…助けてくれ……」ってツイートでした。心配させてしまいすみません。

ちなみに質問はこれだけで終わらなくて「みなさんこのツアーのことはどこで知ったんですか?」とかガンガン聞かれて笑ってしまった。私は「ネットで……」「カクヨムですか?」「いや、Twitterで……」「おお、Twitterですか!」ってところまで詰められましたがフォロワーの名前は出しませんでした。フォロワーを売るなんてできない。

ツアーの参加理由を聞かれたとき、他2人が賞のためって言ってたんですよ。私も今朝まではその気持ちが一番強かったんですが、航空発祥記念館や過去にサクラタウンに来たときの思い出、フォロワーとのサクラタウンTLのことを思いだしたらその理由でいいのかなって気持ちになって自然と(自然と?)「サクラタウンが好きなんですよね」って言ってました。その後白狼の舞とかアマビエの絵の奉納のことを話してたら本当に楽しくなってきて、私サクラタウンのこと思ってた以上に好きなんだ!ってなった。今にして思うとこの辺でスイッチが入ったんだと思う。

ここまで怯みっぱなしではあったけど、こういう質問全部学芸員さんなりのサービス精神なんだなってことも何となく伝わってきたからそこまで悪いものではなかったと思う。「参加者が少ないので今回は一人一人の疑問にしっかり答えたいと思います」って言われた辺りで「あ、全力でいかなくちゃいけないな」って思えたし、それは最初のいくつかの質問があったからなんだと思う。私が今回のツアーを通して知りたいと思ったのは武蔵野の歴史と土地活用の遷移だったからそう伝えました。航空公園に行ったから言えた部分がかなりあるから航空公園に足を向けて寝られない。

 

サクラタウンの成り立ち

一番最初の解説がサクラタウンそのものについてだったんだけど「ここの計画は角川が倉庫用の土地を探していたところからスタートして、図書館、印刷所と色々増えていったんですよ。そこで終わらせておけばよかっ…よかったっていうのもおかしいか」って開幕早々不穏なことを言ってたのが個人的なツボだった。この発言のおかげでもうちょっと普段のペースに寄せて楽しんでもよさそうだなって思えたんですよね。

林は元々あったものを生かす形で利用しているっていうのにちょっとびっくりした。郊外だけどそれなりに栄えている場所って印象だったから、結構しっかり林があったのは意外だった。どんぐりの森(林の中に夜になると発光する金属製のどんぐり?っぽいモニュメントがある)の鬱蒼具合いってそれが理由だったんですね。

 

武蔵野坐令和神社

締切守で有名な神社、武蔵野坐令和神社。TLだと神狼(しんろう)の方が有名かもしれない。

神社前でラムネ売ってて「タリーズじゃなくてここで買えばよかった!」ってちょっと後悔。でもこれは見つからないよ……。

神社に入って一番に学芸員さんがしたことが締切守の紹介で笑った。神社の人の前で「みなさん角川武蔵野文学賞に出されるということで~」って枕詞付きで紹介するもんだからわりと恥ずかしかった。心の中で「もう持ってるぜ」ってマウント取ったけど流石に言えませんでしたね。一つ締め切り守れなかったので……。

いつも神狼(しんろう)神狼(しんろう)言ってるから、最初の交流のとき学芸員さんに「神狼(しんろう)」って言っちゃったけど正しくは「白狼(はくろう)」なんですよね。神主さんの前で言い間違えなくてよかった~。

あの神社って正面がガラス張りだから外から見ただけで全部見たような気になっちゃうけど中から見ると雰囲気違いました。特にそう思ったのは土屋仁応さん作の狛犬を見たとき。少し距離はあったけど座ってじっくり見られたのは本当によかった。『こちらあみ子』の表紙で知ってからずっと気になってた彫刻家だったんです。

質問の時間に「白狼(はくろう)ってよく舞を披露してますけど、この神社で祀っているわけではないんですか?」って聞いたら「そういうわけではないですね」って言われました。ホームページの内容から予想はしていたけど実際にそう言われるとちょっと驚く。わりと頻繁に舞を披露してたのは白狼(はくろう)のサービス精神なんだ、祀られてなくても頑張ってるの偉すぎる……。その後神主さんが「お祀りしてはいませんけど大切にしていますし」みたいにフォローしてたの微笑ましかった。

とか思ってたらスサノオも頑張ってました。

白狼(はくろう)の説明のとき神主さんが「送り狼って言葉あるじゃないですか。女の人を送って行くついでに襲っちゃう、みたいな。でもね、ニホンオオカミはそんなことしませんから」って変なボケを入れて滑ってたのが一番印象に残ってるのが悔しい。滑らせまいと学芸員さんが「フゥー!」って大学生みたいな合いの手を入れてたけどばっちり滑ってました。笑えばよかったのかな。

神社の天井には鳳凰が描かれてるんだけど、作者が天野喜孝ってことに引っ張られ過ぎてその説明全部に「ゲームの世界観じゃん!」って思ってしまった。「二匹なのは鳳と凰、雄と雌って表現なんですよ」「実はあれは未来から現代にやってきた鳳凰って設定で~」って辺りが特にそう。

 

角川武蔵野ミュージアム

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東所沢で一番異質な建物は多分ここ、角川武蔵野ミュージアム。サクラタウンがちょっと高い位置にあるのもあって、巨大な石造りの建物に見下ろされているような気になる。ゲーミングPCみたいでかっこいい。そう思うと皮トンビ(外壁に貼ってある鳥)もステッカーっぽく見える。角川はmy new gear...にステッカーを貼るタイプのオタク。岩の中に入っていくのは胎内回帰を表しているっていうのも考察系オタクの好きなやつじゃん!ってなりました。

外壁に使われてる花崗岩は中国産らしいんだけど、採掘の結果小さな山が一つ無くなったって聞いて震えた。

これです。この説明は事前情報あったからフォロワーから聞いたやつだ!ってなった。愚公山を移すはわりと気に入ってる話できっかけさえあれば思い出しちゃうやつなんだけど、まさかここで!?とは思った。

外壁に貼ってある皮トンビめちゃめちゃ好きなんですよね。すごく可愛い。夜道で会ったら大声上げて逃げ出すかもしれませんが……。

角川武蔵野ミュージアムで一番強烈な思い出といったらこれ。去年の年末に行ったときたまたま見たんだけどかなりすごかった。ラノベ図書館があるからかエントランスにはアニメ系のPVが流れてたんですが、それを止めないまま祝詞を読んでたから動揺したのを覚えてる。

ツアーの休憩時間に学芸員さんに「ホールの展示って何かコンセプトとかあるんですか?」って聞いたら全部アマビエだと言われ、その流れで年末のアニソンアマビエはアマビエプロジェクトの一環だと分かった。ちなみに皮トンビもそうらしい。

なんで貼り付け作業までグッズにするんだろう?って結構不思議だったんだけど、「今の皮トンビってちょっとひび割れてきてるんですよ。あれは最終的に剥がれてボロボロになるところまで含めての作品なんです」って説明を受けて納得。というかかなり興奮してたと思う。「じゃ、じゃあ貼り付け作業がポストカードになってるのってそういうコンセプトだからですか? 始まりから作品にするような……!」って考えが上手くまとまらないまま話したら「そうかもしれないですね」って言われた。わりと困らせたかもしれないからちょっと反省してる。でもこの質問した辺りから好き勝手質問しても答えてもらえるのでは?って思えたっていうのはある。

 

武蔵野の歴史

ツアーの人には大変申し訳ないのだけど、この辺からタリーズに駆け込んで充電したパワーが切れた感があった。説明を聞いたりはできたんだけど、神社やミュージアムくらいに脳を働かせられなかった。

武蔵野コーナーは角川武蔵野ミュージアムの5階を丸々使ってて結構贅沢だった。場所が武蔵野だからっていう以上の気合の入れよう。

そんな武蔵野コーナーの一角にはコの字型の机が置かれてて、学芸員さんが言うにはそこが彼の仕事場らしかった。「これはこの間○○に行った時に採取した石です」「これは○○の工芸品です」って楽しそうに説明してくれたんだけど、ここで集中できるのか気になった。「いつもはここで来館者の方と武蔵野について語り合いながら仕事をしています」ってどんな職場!!??? 一企業が所有する図書館にここまでしてくれる学芸員がいるのすごいな。いや、逆に民間だからここまでできたのかな。フィールドワークに出かけやすいけど普段は人との会話が多いっていう謎自由度の職場、魅力はあるけど独特すぎる。

知識量に圧倒的な差がある人と話すとき、質問できなくてもどかしくなることがよくある。一通り説明を聞いても「なるほど納得!」で止まってしまい、質問が思いつかない。後々考えがまとまってからあれ聞けばよかったー!って後悔したりする。

今回もそうなりそうだったんだけど、ツアー開始時に武蔵野の歴史について知りたいと言ったのに何も聞かないのは失礼ってこともあってどうにかこうにか意見(?)みたいなのを言ったんだけど、結果的にはそれがよかった。

学芸員さんが言うには武蔵野は昔は野原だったらしいんですよ。それも和歌で詠まれるほど見事な野原。そこを人が切り拓いて林にして、今度は工場にして。近代では林が切り拓かれて工場になることを「武蔵野らしさが失われていく」って批判する文章が書かれたらしいんだけど、よく考えたらそれもおかしな話だよなとは思う。和歌で詠まれたような武蔵野らしさを壊して植林したのが近代の武蔵野なんですよ。だから林を武蔵野らしさの象徴にするのはちょっと乱暴な部分もない?って思った。

そういうのもあって「武蔵野は野原、林、工場とどんどん姿を変えていて、それらに親しみを持つ人々がそれぞれにとって思い入れのある景色を武蔵野と呼んでいるのなら、武蔵野とは世代ごとに共有されている原風景の総称と考えていいんでしょうか?」みたいなことを言ったら「いい質問ですね」って言われて嬉しかった。

これについては学芸員さんも色々と考えていたらしく「武蔵野とは地名なのか問題」という話をしてくれた。地名から連想されるイメージと実際の場所には食い違いがある場合があり、いくつかの時代を跨いだ場合のそれが武蔵野なのではないかという話はかなり参考になった。今の私たちに馴染みのある地名で例えるのなら湘南がそれに当たるかもしれないというのはかなり分かりやすい例えだった。流れでWANIMAのMVの話が出たとき「学芸員WANIMA聴くんだ。カラオケで歌ったりするのかな」って脇道に逸れたこと考えてた。集中力切れてましたね。でもこの集中力切れがあったからもう一つお話を聞けたみたいなところがあったから悪いものでもなかったかも。

というのも、これは学芸員さんに聞く話ではないんじゃない?っていうのを口に出せたんですよ。「サクラタウンには神社があって、昔この辺りに生息していたニホンオオカミ狛犬としている。林は昔植林されたものをそのまま使っている。そしてここには印刷所という工場がある。ここの作りって各世代の武蔵野観の集合体みたいですよね。武蔵野の名前で運営している施設ってことでその辺りも意識しているんですか?」的なことを聞いたんです。こうして振り返るとわりと上からな感じであまりよくないですね……。あと言った時から思ってたけど学芸員さんに聞く内容ではない。でもこんな質問にも「面白い質問ですね」って言ってちゃんと答えてくれたのは本当に嬉しかった。

学芸員さんの武蔵野感では、武蔵野は林が欲しいから林を作るとかそういうことばかりする土地ではなく”受け入れる土地”でもあるらしかった。結核病棟や基地についても触れ、そういった様々なことを受け入れる土地としての側面も武蔵野にはあると言っていた。サクラタウンにしても、ここにあったものを受け入れて作るという方向性はあるのかもしれないという話は興味深かった。かなり見当違いな質問だったのに拾っていただきありがとございました。

ちなみに武蔵野在住である学芸員さんにとっての武蔵野は家から自転車で行ける距離らしく、生まれ育った場所の景色がそのまま武蔵野になっているのがいいなと思った。

じゃあ私の場合の原風景ってどこだ?なんだ?って考えたんですが、田んぼとか寂れた町にそれを見ることが多い気がした。あと湿度感がかなり重要。懐かしい湿度に出会うと心が落ち着く。でも原風景に湿度って入れていいのかな。

 

ツアー終わり

学芸員さんと司書さん(ほとんど触れられなかったけど彼もたくさん話してました)がものすごく盛り上がってて聞いてるこっちもかなり楽しかった。終了時間を30分くらいオーバーしたけどそれも含めていいツアーでした。武蔵野コーナーに行ったら学芸員さんとまた話せるかな。

終わったと思って気を抜いてたら学芸員さんに話しかけられた。アカウントだけはバレたくない!って謎の自意識が働いたけど大丈夫だったかな。

賞の前にライバルを消すチャンスだったのに的なことを何人かに言われたんだけど「私はあの人たちよりいいものを書いてやるぞ! 書ける! 書くぞ!」って謎の自信が湧いてたから余裕の見逃しをしたまである。ツアーの人にアイディアバレを厭わないノーガードの質問とか雑談(?)もしてた。なんでそんなに自信あったの? やっぱり脱水で調子崩してたんじゃない?

 

帰り道

急に弱気すぎる。

 

角川武蔵野文学賞

kakuyomu.jp

これに出します。

 

追記(2021/11/05)

kakuyomu.jp

出しました。